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STEP7.株式公開(IPO)

株式公開のイメージ

株式公開(IPO)とは、自社が所有している株式を誰でも自由に取引できるようにすることです。
「上場」とは証券会社を通した上で株式取引ができるようにすること。
ひと昔前までは証券会社を介さずに株式取引ができたので、両者の指す意味に若干の違いがありましたが、現在は株式公開=上場と認識して問題ないです。
この株式公開、もちろん建設業界の会社でもすることができます。
株式公開をすることによって会社にどのような影響があるのか、そのメリットやデメリットを中心に見ていきましょう。

株式公開をして変わること

株価を背景に指をあげるビジネスマン

株式公開をすることで、毎日変動する「株価」という数値によって会社の価値が評価されるようになる点が、それまでとの大きな違いとなります。
第三者である多くの投資家が株を欲しがれば株価は上がりますし、逆に手放したがるようであれば下がります。
要するに、市場が会社の価値を決めるようになること、これが最大の変化です。
さらに細かくメリットやデメリットを見ていきます。

メリット

株式公開をすることで、会社の知名度は確実にアップします。
そして株式公開をしている、という事実だけで対外に対して圧倒的な信用力があるため、その後の案件受注量などにも確実に好影響があるでしょう。
また、多くの投資家から資金を得ることができるようになるため、それまでよりも大きな案件受注が可能になります
そして経営者の立場から言えば、創業者利益が得られる、という点も大きなメリットです。
この利益を次の事業のための資金にすることもできますし、金額によってはそのままセミリタイアすることさえも可能でしょう。

デメリット

デメリットとしては、株式公開するための準備には途方もない時間と手間がかかること。
なんの知識もなければ準備すらままならないため、専門知識を持った人材も必要になります。
そのための人件費や時間というコストがかかります。

そして株式公開することにより自社株のコントロールが利かなくなり、強制的な買収をされるリスクが生まれる、という点にも注意が必要です。
ある日突然経営権を奪われ、それまで創り上げてきた会社を奪われる可能性さえあるのです。
このように、株式公開には多くのメリットがあると同時に、無視できないリスクやデメリットもあることを覚えておきましょう。

株式公開の条件と流れ

株価と注意喚起のマーク

株式公開をするには、まず東京・名古屋・福岡・札幌のいずれかの証券取引所を選ぶところからです。
本社が一番近いところを選定するのが一般的です。
次にその中で市場を選びます。たとえば東京証券取引所なら

  • プライム市場
  • スタンダード市場
  • グロース市場

この中ではグロース市場がもっともハードルが低く、審査に通りやすくなっています
もちろん基準の厳しいプライム市場に上場している企業の方が、投資家からの評価は高くなる傾向にあります。
次に株式公開にかかる費用について。これはさまざまな箇所でかかります。
まず上場審査料と新規上場料ですが、これは東証1部なら合わせて1,900万円、そして年間上場料は会社規模にもよりますが100万円程度取られます。

そして上場するための準備にはコンサルティング会社や弁護士・税理士への報酬、これで年間1,000万円程度、監査法人に対してはさらに高く年間5,000万円程度と、すべて合計すると途轍もない額の費用がかかるのです。
これ以外にも細かいものを言えばまだまだあるため、少なく見積もっても年間1億円程度のコストがかかると考えるべきでしょう。
ここまで問題なくいけそうであれば、申請のための書類準備へ取り掛かりましょう。
こちらもとにかく量が膨大なため、専門家への委託が主流です。

株式公開に踏み切る判断は慎重に

株式公開は、組織を一気に拡大させるための起爆剤になりえます。
成長志向が高い経営者の方であれば、必ず意識しているはずです。
しかし、そのための準備やコスト面での負担は想像以上に大きいということは知っておく必要があります。
それを踏まえた上で、成り上がりの着地点を考えていきましょう。