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STEP04.会社組織(株式会社)化する

握手して雇用契約を結ぶ作業員

受ける仕事が増えて人手が足りてこなくなると、一人親方としてやっていくのは窮屈になっていきます。
自身は現場の仕事に追われ、その他のことにまで手が回らなくなり、結果として見えない損害を生んでしまうことも考えられます。
人手が足りない、という理由だけで本来受けられる仕事をパスしなければならなくなることも、チャンスを逃すという意味では非常にもったいないことです。
建設業界で成り上がるために避けて通れない道、それが一人親方から法人化へのステップアップでしょう。
ここでは、法人化をするにあたり、その手順やメリット・デメリットについて解説していきます。

法人化するための手続き

給料袋を持つ作業員

まず法人化するにあたって、必要になる手続きについて見ていきましょう。
法人と言っても、さまざまな形があります。
株式会社がもっともメジャーですが、有限会社や合同会社も法人の形の1つです。
ここでは、株式会社であることを前提に話を進めていきます。

基本事項
法人名、事業所の所在地、資本金、事業内容、発行株式数、役員など会社に関わる事柄をあらかじめ決めます。内容は定款や登記簿謄本にも記載されます。

印鑑
会社を立ち上げる人の実印と印鑑証明を用意した上で、新たに作る会社の実印も作成し、これの印鑑証明も発行します。

定款
定款とは、いわゆる会社のルールを記載した書類。これを用意しなければ会社を設立できません。①で定めた基本事項も、この定款の絶対的記載事項に含まれます。

資本金
資本金の額は自由に設定できますが、この額が会社の信用度にも大きく関わります。立ち上げ時の資金に余裕があるならば、100万円以上等、まとまった額に設定しましょう。逆に1000万円以上にしてしまうと、初年度から消費税の課税対象になってしまうため、注意が必要です。資本金は、会社名義の銀行口座に、会社を立ち上げる発起人が払い込みます。

登記
ここまで済ませて、最後に登記申請を行う流れとなります。登記申請にはかなりの種類に及ぶ書類を用意する必要があり、知識の薄い一般人が行うとなるとなかなかの手間となります。 会社立ち上げるばかりで資金的に余裕がないと迷うところですが、登記に関しては専門家である行政処理などに委託するのが賢い選択でしょう。

法人化のメリット

給料袋を持つ作業員

一人親方から会社組織化へと進むことが、なぜ成り上がりのステップアップとなるのか、これは法人化することによるメリットと関係しています。

一つ目に挙げられるのは、従業員を社員として雇い、社会保険など福利厚生の整備もできるようになる点でしょう。
事業規模を拡大していくには、自分一人だけの動きではどうしても限界があります。
そこで、従業員を雇う必要に迫られるわけですが、人材が定着しなければなかなか前に進めません。
人を雇っても、やっと一人前になったかというところで去ってしまい、また新たに雇って育成しなおし。
こういった状態が続いてしまっては次の段階へ進めないのです。
その点、組織を法人化して福利厚生を整えることで、従業員が定着しやすくなる、というのは大きなメリットとなります。

次に税制面。同じ額の売上を上げたとして、その総額が一定のラインを超えると、個人事業主として所得税を払うよりも、会社として法人税を払う方が圧倒的にお得になります。
これは、所得税が金額に応じて跳ね上がっていくのに対して、法人税が一定であるためです。
経費として認められる範囲も広がるため、全体を通じての課税対象となる額も抑えることができます。
また、仮に赤字が出た年度の欠損金を、前後の年の利益と相殺できるようになる点も大きいでしょう。
個人事業主の場合は、こういった利益相殺をできません

法人化のデメリット

給料袋を持つ作業員

デメリットとしては、会社を設立するにあたって一定の費用がかかる、という点。
株式会社の場合は固定で手数料が50,000円、登録免許税として150,000円がかかる他、登記業務を行政書士などに委託した場合に、その委託料も必要になります。
設立だけで300,000円程度は必要になると見ておくべきでしょう。
このほかに資本金も必要になります。
また、法人化することにより、会社が黒字か赤字かを問わずに固定でかかる税金がある、という点にも注意が必要です。
これは法人住民税というもので、会社の規模にもよりますが、最低でも年に70,000円かかります。

最後にもう一点、年ごとの決算に手間がかかることです。
個人事業主の場合も確定申告は必要になりますが、法人での決算業務はより複雑になります。
ほとんどの場合が税理士などに委託することになります。
委託料は依頼する専門家の事務所によりますが、年間150,000~300,000円程度が相場となるでしょう。

法人化するタイミング

法人化するメリットはとても多いものの、デメリットもそれなりにある、ということがおわかりいただけたかと思います。
これら双方を考慮して法人化に踏み切るタイミングを模索していくことになりますが、なによりも前提は「事業が好調で売上がある状態」であることです。
法人設立にはそれなりの費用が必要ですし、売上がなければメリットがほとんどなくなってしまうからです。
有能な人材を育て、売上という結果を出していくことが、一人親方から法人化へとステップアップするための必須事項、と言えるでしょう。