学歴なしでも成り上がれる?

建設業界には学歴がなくても就職できる。 これは半分正解ですが半分は間違っています。大手ゼネコンへの就職には確実に学歴が影響してきます。 最低でも大卒以上、そして表向きは大学のレベルまでは問わない、としていても実際は偏差値の高い、良い大学出身者が多く雇われるのが現状です。 ただし、建設業界で成功を収めるための第一歩は、大手ゼネコンへの就職だけとは限りません。 未経験の職人としてスタートするのも、立派な第一歩です。 そして、職人は慢性的に人手不足であり、元気で身体が動きさえすれば学歴など問われずに雇ってもらえます。 職人としてスタートし、いかに成り上がっていくかを想像し、それを実行していくための心構えを身に付けましょう。
技術と経験

なんの技術も経験もない状態で、いきなり個人事業主としてやっていくのは不可能です。 まずは求人情報や紹介を通じて、親方から雇ってもらうところからです。 その親方が法人として動いているのであれば最初から正社員雇用、という可能性もありますが、ほとんどの場合が親方も個人事業主。 つまり雇われる側はアルバイトという形になります。
雇用形態にこだわるよりも、まずはとにかく技術を身に付け経験を積むこと。 これができなければ職人の世界ではお話しになりません。 とにかく真面目に仕事に打ち込み、親方や先輩から吸収できるものはしながら、一人前として認められるところまでを最速で目指します。 実際、意識せずにだらだらとやり続け、気が付けば40代になっても末端の職人をやっている、といった方も多くいます。 本人がそれでよければ周りがとやかく言うことではないですが、成り上がりを目指すのであればアウトです。 少なくとも3年~5年で一人親方として独立することを目指し、そこから逆算してやるべきことをやっていきましょう。
一人親方として独立
職人として実績を残し、親方にも認めてもらえれば独立という選択肢が生まれます。 独立自体は、税務署に開業届を出すだけでできるのでさほど難しいものではありません。 では、独立するとそれまで従業員として働いていたころと何が変わってくるのでしょうか?一つずつ見ていきましょう。
仕事は自分で用意しなければならない
従業員として働いているうちは、親方から与えられた仕事をこなすだけで給料はもらえます。 しかし、独立をすれば自分が親方になる以上、案件を持ってくるのも仕事の1つとなります。 誰も給料は出してくれないので、案件が引けなければお金は一切入りません。 コンスタントに仕事を用意するためにも、独立するまでに人脈を広げておくことがとても大事です。 また、自分で安定して仕事が用意できないうちは、独立した上で他の親方の仕事を手伝って日当をもらう、という形で食いつなぐことも選択肢の一つとなります。 ただし、これに頼ってばかりでは独立した意味がまったくないので、あくまで困ったときの一時的措置として考えるようにしましょう。
日当や給料という概念がなくなる
自分が親方になる以上、給料を出してくれる人はいません。 自分で受ける案件を見積りし、受注となればその金額がそのまま収入となります。 ただし、材料費などの実費も自分で出さなければならないので、それを踏まえた上で利益が残るように見積りをする必要があります。 必要に応じてアルバイトを雇う場合、その人件費も考慮しなければなりません。 それらの経費を差し引いた上で残った額が、親方の収入となるのです。
税務処理も自分でやる必要がある
法人にしても個人事業主にしても、年に一度は税務署に確定申告をしなくてはなりません。 この1年でいくら売上があがり、経費はいくらで、結果として利益が残ったのかを税務署に申告するのです。 その利益に応じて法人税や所得税が決まるのですが、親方になったらこの申告を自分でしなければならなくなります。 お金さえ払えば税理士に任せることもできますが、最初はできるだけ自分でやるようにした方が良いでしょう。 税金に関する仕組みを知ることもできますし、単純に委託料を節約することにもなります。
法人化

収益が安定化し、従業員も複数雇うような状況になったら、法人化を検討しましょう。 法人化をするには、個人事業主の廃業届を出した上で新たに定款の作成や登記などの手続きが必要となります。 自分で進めることも可能ですが、専門家である税理士や行政書士に相談し、手続きを委託するのがスムーズでしょう。 では、法人化をするとそれまでとどう変わるのか、について以下にまとめます。
- 経費として認められる範囲が広がり、税金面で有利となる。また、法人化して最初の2年間は消費税が免除される。
- 対取引先での社会的信用度が上がる。結果として受注できる仕事の幅が広がり、より事業の拡大へとつなげやすくなる。
- 自身の収入は役員報酬という形で金額があらかじめ決められるため、個人事業主の時のように残ったお金をすべて自由に使うことはできなくなる。
- 雇われる側にとっても安心感が増し、人材が定着しやすくなる。
このように、法人と個人事業主では違いがあります。 人を雇わなければ仕事が回せないほどに事業規模が大きくなった段階で、法人化をするのがおすすめです。 法人化をすれば肩書きは親方であり「社長」です。 ここまで来れば成り上がった、と言っても良いでしょう。 そこからさらに上を目指すかどうかは人それぞれですが、これが職人としてスタートし、成功するまでの王道ルートです。 まずはこのルートに乗ることを意識していきましょう。