STEP5.資金調達(借入)で事業規模を拡大
建設業の会社として資金調達をするかどうか、判断を迫られる場面は必ずやってきます。
これはなにも「従業員の給料が払えない」だとかシンプルに運転資金が枯渇している状況だけに限らず、逆に事業拡大を狙ったアグレッシブな資金調達、という場合もあります。
ここでは、建設業における資金調達の考え方について、見ていきたいと思います。
建設業における運転資金とは
一般的な建設業会社における、運転資金に当たるものをまとめます。
- 人件費(従業員の給料)
- 材料費(現場での作業に必要な資材など)
- 固定費(事務所家賃など)
- 外注費(従業員以外の職人や下請け会社へ支払うお金)
これらを支払う資金が足りなくなることは、会社として絶対に避けなければいけません。
特に建設業界の場合、受注による売り上げ分の入金は数カ月後になることも珍しくない上に、工期延長などによって入金のタイミングがさらに遅れるようなケースも珍しくありません。
支払いは一定のペースであるにも関わらず、会社への入金だけが極端に遅れる状態が続くと、資金がショートする恐れもあります。
そうならないよう、しっかりと状況を把握した上で早めに資金繰りのために動く必要があります。
受注規模拡大のための資金調達
資金調達は、運転資金のショート穴埋めのためだけに行われるものではありません。時には、運転資金は充分足りている上で行うこともあります。
それは例えば、いまある事業規模をさらに拡大していくために受ける融資などが該当します。
- いまよりも大きな現場での作業を可能にするために作業者や重機を増やす
- すでに受注した案件に使う大量の資材を仕入れる
といった類の目的で行う資金調達です。 事業規模の拡大、成り上がりを考える上では、このようなアグレッシブな資金調達ができるように努めていきたいところです。 ただし、なんでもかんでも融資を受けて拡大路線を突き進めばいい、というわけではありません。 受けられる案件の規模が大きくなったところで、それをこなせる人材が揃っていなければ無意味ですし、受注自体が不透明な場合も無駄になる可能性があります。 資金調達は、常に自社の資金繰りなど状況を把握した上で、適切なタイミングで行うことが重要です。
資金調達の方法
建設業界の会社が資金調達を行う方法は、大きく3つに分けることができます。
これはもっともメジャーな資金調達法です。 審査に通って融資を受けることさえできれば、低金利である点などメリットも多いですが、基本的にはハードルが高い。 申し込みから融資実行までも時間がかかるため、経営者として先を見据えることができていないと、ピンチになってから申し込んだのでは間に合いません。
日本政策金融公庫など、公的機関からの融資です。 銀行と同様に低金利である上に、無担保・無保証での借入れが可能なものも。 ただし、その分やはり審査は厳しく、融資実行まで時間がかかるもという点においても、銀行融資と使い勝手はあまり変わりません。
建設業界で注目を集めている資金調達法がファクタリングです。 工事自体は完了しているが入金がしばらく先、といったいわゆる売掛金を業者に買い取ってもらうことで、前倒しでの現金化ができる、というサービスです。 当然ですが現金化するには手数料が発生するため、本来待てば入る金額よりも少なくなってしまう点に注意。 手軽な資金調達法として利用する経営者も多いですが、無計画に使っていると先の運転資金に余計苦しむことになってしまいます。
資金調達をうまく使うことが拡大への鍵
資金調達といっても、目的は様々あります。 運転資金はなるべく自力で賄うことが理想ですが、会社経営は誰もが順風満帆にできるわけではありません。 必要な状況で借入れを行うことも、経営者として大事な決断となります。
また、規模拡大を狙った積極的な資金調達ですが、これをうまくできるかどうかが、建設業界で成功するための大きな鍵と言っても過言ではありません。 それまで大きな会社から降りてくる案件を受注していただけだったのが、逆に発注する側に回る。会社の事業規模が大きくなればこういった変化も出てくるでしょう。 チャンスを逃さないためにも、資金調達の重要性を認識しておきましょう。